なぜ、高額なコンサルを雇ったのに成果が出ないのか?
「外部のプロを入れれば、うちの課題も解決するはずだ」 多くの経営者が抱く、その期待。しかし、その結末は「立派な戦略レポートはもらったが、何も実行されず、現場は変わらない」という、ため息の出るような現実であることが少なくありません。
なぜ、このような悲劇が起きてしまうのでしょうか?
それは、コンサルタントの能力だけの問題ではありません。実は、クライアント側の「使い方(=関わり方)」に、成功と失敗を分ける大きな原因が潜んでいるのです。
この記事では、コンサルタントへの投資を無駄にしないための「パートナーシップ」という考え方について、具体的に解説していきます。
この記事でわかること
- コンサル活用が失敗する典型的な4つの「丸投げ」パターン
- 逆に、コンサルをうまく活用して成果を出す企業の4つの共通点
- 自社に必要なのは「コンサルタント」か「グロースパートナー」か診断できる
そもそも「コンサルタント」とは何か?
まず、一般的に「コンサルタント」がどのような役割を担う専門家なのか、その仕事の範囲を整理しておきましょう。
コンサルタントとは、特定の分野における高度な専門知識や客観的な視点を用いて、企業の課題を分析し、解決策としての「戦略」を提示する専門家のことです。
主な仕事の範囲は、
- 現状分析と課題特定: データを分析し、インタビューを通じて、問題の根本原因を特定します。
- 戦略立案と提言: 分析結果に基づき、課題を解決するための具体的な戦略や改善策を立案し、「戦略レポート」として提言します。
- 専門的な知見の提供: 業界の最新トレンドや、他社の成功事例といった、社内にはない情報を提供します。
重要なのは、彼らの主戦場は「戦略の策定」までであるケースが多い、ということです。コンサルタントは、問題を一瞬で解決してくれる「魔法使い」ではありません。あくまでも提言された施策やアイディアを実行をするのは自社であり、結局は社員による実行力に成果を左右されてしまうのです。
「使い方」で成果は180度変わる
コンサルタントの役割を正しく理解しないまま依頼すると、うまくいかない企業に共通する「丸投げ」体質に陥りがちです。一方で、外部の力を最大限に引き出す企業は、彼らを「参謀、アドバイザー」としてうまくチームに参画してもらいます。
活用が失敗する4つの「理由」
- ①「魔法使い」への過度な期待:
コンサルタントに「答え」だけを求め、自社は何も変わろうとしない。これは、最も陥りやすい「思考の丸投げ」です。 - ②「ビジョンや目的の欠落」による“持て余し”:
コンサルタントを活用する目的が明確でないため、結局、何をお願いしたいのか、どこに向かいたいのかが分からない。「目的の丸投げ」状態では、どれだけ優秀なコンサルタントもサポートのしようがありません。 - ③「戦略レポート」の“お蔵入り”:
現場の実行部隊を巻き込まずに進めた結果、誰もレポートの内容を自分ごと化できない。これは、当事者意識のない「実行の丸投げ」が生む典型的な失敗です。 - ④ クライアント側が自分たちで「推進しない」:
最終的に事業を推進し、結果責任を負うのは、クライアント自身です。「助言は実践してこそ意味を持つ」という当事者意識がなければ、どんな優れた戦略も絵に描いた餅で終わってしまいます。
うまく活用できる4つの「共通点」
- ① 実行チームの「サポート役」として明確に位置づける:
成長意欲のある社員をプロジェクトの責任者や実行者として明確に立て、コンサルタントをその「サポート役」としてチームに組み込みます。実行者がいるからこそ、具体的な課題が生まれ、議論が前に進むのです。 - ② ノウハウを「自社の資産」として吸収しようとする:
コンサルタントとの全てのやり取りを学びの機会と捉え、得た知見や思考法を自社の業務改善に活かし、チーム内に共有します。外部の知見を、自社の血肉に変えようとする貪欲さがあります。 - ③「壁打ち相手」として、主体的に活用し尽くす:
「どうしたらいいですか?」と受け身で待つのではなく、「私たちはこう考えているが、どう思うか?」と主体的に質問をぶつけます。自ら考え、行動しているからこそ、対話の中から新たな視点や気づきを得ることができるのです。 - ④「最終責任者」は自社であると、覚悟を決めている:
パートナーの助言は最大限に活用する。しかし、最終的な意思決定と、その結果に対する全責任は自分たちが負う。この覚悟が、他責志向をなくし、事業を成功へと導きます。
あなたに必要なのは「グロースパートナー」かも?
ここまで読んで、こう感じた方もいるかもしれません。「戦略だけでなく、実行までサポートしてほしい。それもコンサルタントの仕事ではないのか?」と。
そう思ってしまうのも仕方ありません。そもそも、アイディアを実行できているのであれば、コンサルタントは不要だと感じる事も多いのは事実だと感じています。だからこそ、私は従来のコンサルタントとは少し異なる存在として、「グロースパートナー」という在り方を提唱しています。
グロースパートナーとは、戦略レポートを渡して終わりにするのではなく、クライアントが「自走」できるようになるまで、共に汗をかく伴走者のことです。
自転車の練習に例える子供(=企業)と父親(=グロースパートナー)の役割
STEP 1: 目的の共有とサポート
その役割は、「子供の自転車の練習を手伝う父親」の姿によく似ています。子供(=企業)が「自転車に乗れるようになりたい」という目的(ビジョン)を持ち、父親(=グロースパートナー)はそれを手助けするために補助をし、原理原則や技術を授け、実行サポートを行います。
大前提:本人の「漕ぐ意志」
もちろん、コンサルタント活用と同様に、あくまでも子供自身が「本気でペダルを漕ぐ」という意志を持っていることが大前提です。 中には、目的地までずっと背中を押してもらおう、おんぶにだっこ状態で連れて行ってもらおう、と考えてしまう人もいますが、それではいつまで経っても自転車には乗れません。
STEP 2: 伴走と「自走」の促進
本気でペダルを漕ぐ子供に対して、父親はしっかりと寄り添い、転ばないように支えます。もしスピードが足りなければ背中を押して推進力を与え、バランスが取れるようになったのを見計らって、ゆっくりと手を放し、「自走」させてあげるのです。そして、手を離した後も、しばらくは転ばないように「伴走」し、声をかけ続けます。
コンサルタントとグロースパートナーの関わり方の違い
コンサルタント
グロースパートナー
この「父親」のように、クライアントの力を信じ、挑む心を育み、寄り添い支える。それこそが、私たちが目指すグロースパートナーの姿なのです。
【自己診断】あなたの会社に必要なのは、どちらですか?
あなたの会社の今の状況では、どちらの専門家がより適しているか、自己診断してみましょう。
「従来のコンサルタント」が有効な場面
- 特定の専門分野(法務、会計など)の、明確な答えや調査レポートが欲しい
- 社内に実行できるリソースは十分に揃っている
「グロースパートナー」が必要な場面
- 戦略だけでなく、実行段階での具体的なサポートも欲しい
- 社内に専門人材がおらず、ノウハウを学びながら共に進めたい
- 経営者の「壁打ち相手」として、長期的な視点で伴走してほしい
まとめ:投資を無駄にしないために
コンサルタントへの投資を成功させる鍵は、専門家を単に「使う」という意識から、共にゴールを目指す「パートナー」として関わるという意識へ、あなた自身が変わることです。
私たちは、地図を渡して終わりにするのではなく、あなたが目的地まで「自走」できるようになるまで、すぐ隣で伴走するパートナーでありたいと考えています。
まずは、あなたの会社が目指す「目的地(ビジョン)」について、
お話を聞かせてください。
