【受注率アップ】営業活動におけるよくあるボトルネック5選

【受注率アップ】営業活動におけるよくあるボトルネック5選

失注した案件がなぜ失注したのかに向き合う事はとても大切です。しかし、失注理由に関しては、その本質を正しく見極めなければなりません。

私たちは、つい自分の主観や都合の良い解釈を失注理由として記録してしまうことがあります。「価格が高すぎた」「タイミングが悪かった」などです。なぜなら、「自分の実力不足や失敗で失注した」と評価されたくない、あるいは自分自身がそう思いたくない、という想いが少なからず人にはあるからです。

本記事では、そのような主観を取り除き、失注案件と真摯に向き合った後によく見えてくる、営業活動における典型的なボトルネックを5つ、その解決策のヒントと共にご紹介します。

この記事のポイント

  • 多くの営業組織が陥る、受注率を低下させる5つの典型的な問題点
  • 「価格」や「タイミング」のせいにする前に、本当に見直すべきこと
  • 各ボトルネックに対する、明日から実践できる具体的な解決策のヒント

① そもそも「見込みの低い顧客」にアプローチしている

よくある状況

「商談の数は多いのに、一向に受注に繋がらない」「いつも最後の最後で断られてしまう」。このような状況の根源には、アプローチすべき顧客リストの「質」の問題が潜んでいます。多くのチームが、ただ渡されたリストの上から順にアプローチしているだけ、という状態に陥っています。

なぜ起きるのか

そもそも「自社にとって見込みの高い顧客とは誰か」という定義が、チーム内で共有されていないからです。どのような業種、規模、課題感を持った顧客が、過去に自社を選んでくれたのか。その**“勝ちパターン”**が分析されず、個人の感覚頼りになっているのです。

解決のヒント

ヒント①: まずは、過去の受注顧客の特性を徹底的に分析し、「我々が最も価値を提供できるのは、どのような顧客か?」という具体的なペルソナ(顧客像)を定義することから始めましょう。

ヒント②: 他にはリストの抽出元を精査し、更に効率の良いリストを作成できないか再考するのも効果的です。例えば、採用支援を提供している会社であれば、既に他媒体で求人を出している企業は需要があると考えて、優先的にアプローチするのもありですね。

② 「初期対応の遅れ」で、最大のチャンスを逃している

よくある状況

問い合わせへの返信が翌日以降になる、資料請求から数日経ってから電話をかける、担当者間の引き継ぎがうまくいかず顧客を待たせてしまう。これらは、気づかぬうちに顧客の熱量を下げ、信頼を損なう致命的な行為です。

なぜ起きるのか

顧客が問い合わせボタンを押した瞬間、アポイントを受諾してくれた瞬間が、最も購買意欲(熱量)が高いゴールデンタイムである、という意識がチームに欠けているからです。対応の早さは信頼に直結し、逆に対応が遅いことは、それだけで「この会社は自分を大切にしてくれない」という不信感に繋がります。現代では一社だけの話を聞くというのはとても稀なことです。対応の早い他社がどんどん話を進め、気づいた時には受注をかっさらわれているのです。

解決のヒント

ヒント①: 「問い合わせから〇時間以内に必ず初回連絡する」「担当者不在の場合は、一次対応の担当者が必ずその旨を連絡する」といった、**明確なサービスレベル(対応基準)**をチームで設定し、徹底することが不可欠です。また、常に、競合がいるという事も意識しておきましょう。

ヒント②:アポイントが頂けそうになったら、日程を出来るだけ早く設定しましょう。お客様はアポイントの事や一つの課題だけを考えているわけではありません。日数が経つと別の課題の優先度が上がったり、営業から話を聞く事すら面倒だと感じてしまう可能性もあります。

③ 「提案内容のズレ」で、顧客の心が離れている

よくある状況

一生懸命プレゼンをしても、顧客の反応が薄い。「良い提案ですね」とは言われるものの、具体的な検討に進まず、話が立ち消えになってしまう。

なぜ起きるのか

これは、自社が売りたいものを一方的に提案しているだけで、顧客の**「真の課題」**を捉えきれていない証拠です。多くの場合、顧客自身も自社の課題に明確に気づいていません。また、課題に気づいていたとしても、その重要度が伝わっていなければ、「他にもっと優先すべき業務がある」と後回しにされてしまいます。

解決のヒント

ヒント①: 提案の前に、まず徹底的なヒアリングを行うことです。顧客のビジネスを深く理解し、「あなたが気づいていない、本当の課題はここにあります。そして、それを放置すると、こんな未来が待っていますよ」と、課題の言語化と重要性の提示を行うことが、あなたの価値になります。

ヒント②: お客様の会社全体の売上やコスト等、本来の目的を意識した提案を行いましょう。例えば、採用を考えている企業は、人を採用する事がゴールではなく、入社した人が活躍することでお店の売り上げが上がる事を望んでいます。顧客の真の目的を見極め、提案すると、ズレた提案は少なくなります。

④ 「クロージング」に向けた、後追い不足

よくある状況

見積書を提出し、「検討します」と言われた後、具体的なアクションを起こせないまま案件が自然消滅してしまう。最も重要な最終局面で、顧客との関係が途切れています。

なぜ起きるのか

これは、顧客の「検討します」という言葉を鵜呑みにし、思考停止と「待ち」の状態に陥っているからです。「いつまでに」「何を」「誰が」決めるのか、という次のアクションプランを顧客と握れていないため、営業プロセスの主導権を失ってしまっています。

解決のヒント

ヒント①: 商談の最後に必ず、「それでは、来週〇曜日に、〇〇様(決裁者)へのご説明の機会をいただけますでしょうか?」、「お忙しいと思いますので来週〇曜日に、状況のお伺いをさせていただきます。」など、具体的な次のステップをこちらから提案し、ボールを握り続けることが重要です。

ヒント②: 素直に検討するべきポイントを聞きましょう。決裁者であれば、即決できない不安要素があるはずで、その不安を解消できないと受注には至らないです。その場で説明して不安を解消出来る事なら、引き下がらずに営業を続けましょう。仮にできない場合は社に持ち帰って補足資料を送りましょう。その際も、期日を自ら設定し約束する、送信した後のフォローや状況のお伺い電話を行うと良いでしょう。

⑤ 本当の失注理由を「勘違い」している

よくある状況

上記のようなボトルネックが複数存在しているにも関わらず、チーム自身がそれに気づかず、「価格が高かった」「タイミングが悪かった」といった外的要因のせいにして、思考を停止させてしまっている。

なぜ起きるのか

導入でお話しした通り、失注理由を客観的に分析する「仕組み」がなく、担当者の主観的な報告に頼っているからです。

解決のヒント

ヒント①: 失注は「失敗」ではなく、最高の「学びの機会」です。失注理由を選択式で記録し、チームで定期的にレビューする**「仕組み」**を作りましょう。客観的なデータが、あなたのチームが本当に向き合うべきボトルネックを、静かに、しかし明確に教えてくれます。

ヒント②: 失注理由を外的要因ではなく自責と捉えて改善に取り組みましょう。例えば、価格が高いという理由で失注した場合、確かに一社員の一存では商品やサービスの価格を変えることは難しいでしょう。但し、「価格が高いと感じてしまう説明をしてしまった。」、「商品の魅力や付加価値を伝えられなかった。」とするとどうでしょうか?説明の内容を工夫したり、他社との価格差がなぜあるのかをきちんと説明する事で解決できるかも、と前向きに改善に取り組めるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。受注率を上げるために必要なのは、新しい営業テクニックを学ぶことよりも、まず自社の営業プロセスに潜む「問題点(ボトルネック)」を特定し、それを一つずつ確実に塞いでいくことです。そして、そのボトルネックを教えてくれるカルテこそが、「失注データ」に他なりません。この記事で述べたように、実は、受注率アップの解決策は斬新なものではなく、意外と意識の変革や仕組み化、当たり前のことを当たり前に行う事にあります。

もし、あなたの会社の「失注データ」を共に分析し、
本当のボトルネックを特定するお手伝いが必要でしたら、
ぜひお声がけください。

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